







103.うすくちたまごかけ100ml
おいしい卵を引き立てるだし醤油
職人醤油 No.103

最近、「卵かけご飯専用醤油」という名前の醤油を、よく見かけるようになりました。それだけ卵かけご飯が、日本の国民食として定着している証拠ですよね。
でも実は、「卵かけご飯専用醤油」は、はっきりとした定義があるわけではないのです。
各メーカーが「卵に合う」と思う味わいを、だしや甘みをプラスして自分たちのレシピで仕上げている場合が多く、ベースとなる醤油の種類も違えば、加えられているだしや甘みのバランスもさまざまです。ですから、ある人にはぴったりでも、別の人にはちょっと甘すぎたり、しょっぱく感じたりすることもあります。
店頭でも、「卵かけご飯専用醤油を買ったけど、好みの味じゃなかった…職人醤油のはどんな感じですか?」とご相談いただくことがよくあります。
実は、職人醤油のラインナップにも「たまご」と名のつく醤油が3種類、さらにだし醤油は9種類あります。濃縮タイプ、ストレートタイプ、ベースの醤油も白醤油から溜醤油までさまざま。
その中でも、このうすくちたまごかけは、淡口醤油で有名な兵庫県の老舗・末廣醤油と職人醤油が共同開発した特別な1本。「おいしい卵をもっとおいしく食べるための醤油をつくろう」という発想から生まれました。
ほかのだし醤油と比べたときの大きな違いは、以下の2点です。
- 淡口醤油がベース
- かつおだしを使っていない。だしは、昆布と椎茸だしのみ

淡口醤油がベース
創業は明治12年(1879年)の末廣醤油。建物は大正期のもので、兵庫県たつの市の古い町並みに溶け込むように佇んでいます。 製法は今も天然醸造にこだわり、さらに「淡口醤油の新しい使い方」の提案にも積極的。淡口醤油を主力商品としている蔵元が少ない中で、その存在感はひときわ際立っています。
淡口醤油は、熟成期間が短いため、色が明るく、塩味はキリっと。醤油としての主張は控えめで、素材の味や色を引き立ててくれるのが特徴です。 その中でも、末廣醤油の淡口醤油は特に香りが穏やかでやさしく、全体にふんわりと寄り添ってくれるような味わい。この、醤油味になりすぎず、やさしい香りの淡口醤油が、「うすくちたまごかけ」のベースになっているのです。

お客様の意見も参考に試作は19本にも
末廣卓也社長をはじめ、息子の努さんが、取引先の料亭にだしの取材を行い、だしの研究を重ねながら、10種類以上の試作を繰り返してくれました。
その中から3タイプの醤油を選び、お客様にアンケート調査を実施。
▼アンケート結果▼
Ver.2 醤油が主役……36.7%
Ver.4 椎茸が主役……28.6%
Ver.9 3種のだしが主役……34.7%
椎茸だしは、好みが分かれる味わいです。「椎茸は絶対に苦手!少しでも入っていたら無理!」という方も実際にいらっしゃいます。
当初は、Ver.4の椎茸だしバージョンが比較的不人気になるのでは?と心配していたのですが、意外にも「これがいい!」と熱のこもったご意見を多くいただきました。
その結果を受けて、末廣醤油さんとも相談のうえ、Ver.2とVer.4の路線に微調整を加え、完成品を目指すことに。 お客様の声をヒントに、努さんが「卵そのものを楽しめる味わい」を目指して改良に改良を重ね、試作はついに19本。微調整を繰り返しながら、ようやく納得のいく1本が完成したのです。

だしは昆布と椎茸だしのみ
だし醤油といえば、まず思い浮かぶのは「かつおだし」。もちろん、かつおだしを使った卵かけご飯もおいしいです。でもそれは、どちらかといえば「普通の卵」に合う味わい。
この醤油の開発者である末廣醤油の努さんは、「おいしい卵」に合わせたときに、かつおの香りやうま味が前に出すぎてしまうことに気づきました。
そこで選ばれたのが、昆布と椎茸のだし。やさしく、ふくよかなうま味で卵を包み込み、主張しすぎず引き立ててくれる組み合わせです。
しかも、ただ椎茸を入れるのではなく、天然の椎茸からうま味エキスをしっかり引き出すために、煮出し方にも工夫を重ねてつくられています。
淡口醤油のさっぱりとした味わいに、昆布と椎茸のだしのうま味がほど良く溶け込み、卵を引き立てる塩気を感じる、ストレートタイプのだし醤油に仕上がりました。卵が主役でありながら、さっぱりとした塩気と控えめなだしの風味が、上品に寄り添ってくれる1本です。
だし巻卵や納豆のたれにも
淡口醤油をベースにしているからこそ、卵焼きの味付けにもぴったり。醤油とだしが合わさっているので、これ1本で簡単にだし巻き卵が作れてしまいます。色の明るい淡口醤油がベースなので、卵の色が茶色くならず、ふくよかなだしのうま味もしっかり感じられます。私は甘めが好きなので、砂糖をプラスして作るのが定番です。
卵かけご飯に合う醤油は、もれなく納豆にもおすすめ。特に、小粒でこだわりの納豆と相性抜群です。卵かけご飯と同じように、さっぱりとした塩気と控えめなだしの風味が、小粒の納豆に上品に寄り添ってくれます。
納豆に醤油を使うときの混ぜ方にも、ちょっとしたコツがあります。
まずは醤油を入れる前にしっかり混ぜる。次に、少しだけ醤油を加えて軽くなじませる。そして、ご飯に納豆をのせたあとに、仕上げにもうひとたらし。この食べ方が、わたしのイチオシ!うすくちたまごかけの味わいを、より一層楽しむことができますよ。
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