








50.尾張のたまり100ml
グルテンフリーでとにかく濃厚
職人醤油 No.50

大豆だけでつくる濃厚な溜
東海3県を中心に生産されている溜醤油。
その中でも、愛知県の知多半島の武豊町は、蔵元が集まる溜醤油の一大産地として知られています。この町で1829年に創業した丸又商店は、大豆100%で木桶仕込みという伝統製法を頑なに守り続けています。
木造の蔵の中には、昔ながらの木桶が70本、整然と並んでいます。
ただ、東海地方の方にとっては、「醤油といえば溜だ!」といわれる程、生活に密着しているのですが、東海地方以外の方には、あまり馴染みがないかもしれません。
この溜醤油、他の醤油と原材料も作り方もまったく違うのです。
一般的な濃口醤油が大豆:小麦=1:1なのに対して、溜醤油は大豆の比率が多いことが特徴。尾張のたまりは小麦を使用せずに大豆と塩のみでつくられています。
この違いが、溜醤油ならではの濃厚なうま味と、どろっとした独特の質感につながっているのです。

自然の力と人の手
溜醤油づくりの大きな特徴のひとつが、「味噌玉」と呼ばれる麹づくりです。蒸した大豆を、親指ほどの大きさに握って、ひとつひとつ手で玉にしていきます。
そこにごく少量の塩水を加えるのですが、その量は濃口醤油の半分以下。見た目は、まるで味噌のような状態になります。当然、普通の醤油と同じようにかき混ぜることができません。
そのため、木桶の中には筒が仕込まれていて、そこに自然とたまってくる液体を柄杓でくみ上げ、石の上からかけ戻す「汲みかけ」という作業を行います。この「汲みかけ」は、溜醤油にとって欠かせない、重要な工程です。
「熟成が進んだ段階でも毎日見回って頻繁に汲みかけをしてあげます。このように、一見、人が管理しているように見えるけど、醤油は自然に力によってつくられることを実感するんです。
発酵は温度をコントロールしてあげれば、効率的に進むけど、熟成は時間をかけなくてはいけない。どんなに人類の技術が進歩しても自然の熟成を早めることは出来ないと思うし、自然の力には勝てないのでは・・・って感じています。」と、出口智康社長は語ってくださいました。
また、蔵の今後についてお聞きした際には、こんなお話も。
「蔵の規模を大きくすることは考えていない。より価値のあるものにしたいんです。」と。「価値あるものって?」とお伺いすると、「高価だから日常使いに出来ないものはつくりたくない。日々の生活になくてはならないもの。当たり前に“原料”と“手間ひまかけて”つくられた醤油であること。そして、美味しいこと。結構単純なんですよ!」
たまり醤油=甘い醤油ではない
調味料売り場などで、「たまり醤油」というラベルを目にしたこと、ありませんか?
でもこの「たまり」、地域によってはちょっと違った意味で使われていることがあります。
たとえば、九州のとろっと甘いお刺身醤油を「たまり醤油」と呼ぶ方もいれば、ある地域では「醤油=たまり」として昔から親しまれていることもあります。
でも実は、「たまり醤油」はきちんと定義された種類のひとつ。
JAS(日本農林規格)では、醤油を5種類に分類していて、その中の1つが「溜(たまり)醤油」です。
主な産地は中部地方。塩分濃度は濃口醤油とほぼ同じで、決して「甘い醤油」ではありません。
ただ、その濃厚なうま味を、味覚として「甘さ」と感じる方もいらっしゃいます。これは砂糖のような甘さとは違う、素材の奥にあるまろやかさのようなものかもしれません。
「たまり醤油=甘い醤油」というイメージをお持ちの方にこそ、一度、本物の溜醤油を味わってみていただきたいです。

濃厚なうま味をステーキで味わう
杉桶で三年、じっくりと熟成。愛知県産の丸大豆と塩だけで仕込んだ、数量限定商品です。
仕込みの塩水はごくわずか。だからこそ、うま味がぎゅっと凝縮されています。うま味成分の窒素分はなんと3.0%。濃厚なコクと深い味わい、そして長期熟成ならではの、角のとれたまろやかさが広がります。ひと口で、忘れられない。そんな力強いとろみと風味。
まずは赤身肉のステーキに、ほんのひとたらし。噛むほどに肉のうま味があふれ、それを上回る溜醤油の存在感が絶妙に調和します。

野菜がごちそうになる
尾張のたまりは、もうそれだけで味付けが決まる濃厚なうま味が魅力。シンプルな調理でも、驚くほど満足感のある一皿に仕上がります。
たとえば、少し厚めに切った玉ねぎを、ごま油でじっくり焼いて。仕上げに黒胡椒と尾張のたまりをひとたらし。それだけで、玉ねぎがごちそうに!
表面は香ばしく、中はとろっと甘くなった玉ねぎに、たまりの芳醇な香りとうま味が絡み、まるでソースをかけたような深い味わいが生まれます。玉ねぎが苦手な私でさえ、これは「おいしい!」と思わず人にすすめたくなる一品です。
もうひとつのおすすめは、アボカド。濃厚でねっとりとした食感に、尾張のたまりのコクがしっかり寄り添い、アボカドの自然な甘みをぐっと引き立ててくれます。 「濃厚なのに、しょっぱくない」。そんなまろやかさが、このたまりの魅力。
野菜のおいしさを存分に引き出してくれる尾張のたまり。素材の味を大切にしながら、ちょっと特別な一皿を楽しみたいときにどうぞ。
ラーメン店主に人気
店頭には、ラーメン店主や、現在修行中で自分のラーメンを模索中の方も多く来店されます。そんな方々に、溜醤油の中で特に気に入っていただけるのが、尾張のたまりなのです。
しっかりとしたうま味の強さに、正統派の醤油らしい香りもあり、味の芯がぶれません。
ベースにするというよりは、濃口醤油に少量をプラスする使い方をされる方が多く、「ほんの少し加えるだけで、スープの雰囲気がガラッと変わる」と言われます。
ただし、尾張のたまりは生産量が限られているため、業務用には対応できません。
それでも「この醤油じゃないと出せない味がある」と、個人用に購入されるラーメン職人の方もいらっしゃいます。自宅でラーメンづくりに挑戦している方は、ぜひ一度試してみてください。
ただし、ご注意いただきたい点が1つ。うま味は複雑で深みが増しますが、スープの色は濃くなります。色合いを重視される場合は、控えめにお使いください。
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