95.平右衛門 100ml
正真正銘の手造りと呼べる醤油
職人醤油 No.95
小さな蔵元だからこそ
創業は明治初期。手造りで醤油と味噌を醸造しています。醤油づくりで最も大切ともいわれる麹造り、鈴木醤油店ではそれを麹蓋で行っています。全国的にみても珍しい手法。石造りの室の中にはたくさんの麹蓋が積まれています。
ぜんぶを手作業で行います
とにかく手間のかかる製法です。室で麹を寝かせる期間は足掛け3日。中に入っている一枚一枚を定期的に組み替え、麹蓋の中で固まった麹を手でほぐしながら育てていきます。
室の温度管理は、天井にある小窓を開けて温度を逃がし、温めるときは七輪で炭を燃やします。昔の醤油蔵はみなこの作業をしていたのですが、今では数えるほどしか残っていない伝統的な製法です。
実はりんご農家でもあります
「細かくしたりんごの枝も一緒に燃やすんですよ」と6代目の鈴木良浩さん。炭とすすの力で殺菌効果が得られて、室の中を薬剤で消毒する必要がなくなるそうです。でも、なぜリンゴの枝?実は鈴木さんはリンゴ農家でもあるのです。醤油一本にしようかと悩んだ時期もあったといいますが先祖から引きついた畑、両方続けることにしたそうです。
ゆっくり時間をかけて大豆を蒸す
大豆の蒸し方にも特徴があります。木桶を改造した大豆の蒸し器は鈴木さんの自作。下から蒸気を入れる仕組みです。大手の醤油メーカーは圧力をかけ短時間で大豆を蒸しますが、鈴木さんは無圧で時間をかけて蒸します。逆のアプローチなのです。
大豆が柔らかくなるのに3~5時間。つきっきりで蒸気を調整したり混ぜたりを繰り返します。大豆に火を通していくと香りが変わり、ゆっくり蒸すことで大豆が甘くなるそうです。
正真正銘の手造り
木桶は断熱効果があり、蓋をしておけば熱が逃げにくいそうです。大豆を蒸すのが13時から18時頃にかけてで、そのまま一晩置いた翌朝も大豆は熱々のまま。酸化して雑菌にも強くなるそうです。
ご本人はまだまだですと謙遜されますが、麹蓋による麹づくりと櫂棒による攪拌、昔ながらの道具を使い手間がかかる手仕事も楽しんでいる様子が伝わってきます。正真正銘の手造りを名乗れる天然醸造醤油です。
まずは白ご飯にそのままかけて
丁寧に造られた醤油の魅力をダイレクトに味わうには、シンプルに食すことが一番。炊き立ての温かい白ご飯にひとまわし。平右衛門の優しい香りとまろやかな甘みを感じ、じっくりと贅沢な気分で味わいたくなるはずです。おにぎりに少しかけても◎。
秘訣は6代目の真っすぐな姿勢と笑顔
醤油の味と蔵元の社長の性格は似てくると感じています。鈴木さんは元高校教師。質問をするととても分かりやすく丁寧に優しい笑顔で答えてくれます。そのお話の中で最も印象に残っているのは、「①きれいな環境でつくる ②丁寧につくる ③当たり前を守る。すると特別な技術がなくてもおいしくなるんですよ!」。
搾る作業が楽しい
一番楽しい作業は何ですか?と質問すると、「作業服は一番汚れるけど、搾る作業ですかね」とのこと。やっとお客様へ届けられるという思いが喜びにつながるそうです。お会いするたびに新しい話題が尽きない鈴木さん。冬の寒い時期に行うことが一般的な仕込みを、試験的に夏にしてみたり、白醤油や淡口醤油に挑戦したり・・・。常に新しいことも探求し続けているようです。
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