







112. Nagara 100ml
Gluten-free soy sauce made with Jusui
Shokunin Shoyu No. 112
仕込み水が少ない溜醤油
主に東海地方(愛知・岐阜・三重)で製造・消費されている溜醤油ですが、一般に多く出回っている濃口醤油と比較すると製法が異なります。
一般的な濃口醤油が大豆、小麦などからつくる麹の量に対して120%~130%程度の塩水で仕込むのに対して、溜醤油は50%~100%で仕込みます。味噌玉をつくって上から重石をするので、醤油の仕込みよりも味噌の仕込みに似ているかもしれません。
溜醤油は仕込み水が少ないため、攪拌(諸味をかき混ぜる作業)ができません。そのため、木桶の中に筒状の「えんとつ」と呼ばれるものを差し込みます。えんとつの下部には穴が開いており、この中に醤油が溜まっていく仕組みになっています。そして2年かけて、えんとつ内に溜まった醤油を長い柄杓ですくい上げ、重石の上から注ぐ「汲みかけ」作業を繰り返し行います。
生引きと圧搾
山川醸造には「長良」と「みのび」という2種類のグルテンフリーの溜醤油があります。いずれも木桶で2年熟成、仕込みは国産大豆と塩のみの十水仕込み。原材料も工程も全く同じですが、大きく異なるのは搾り方、「生引き」か「圧搾」かという点です。
溜醤油の木桶の下部には、注ぎ口がついています。「生引き」とは、木桶の底に溜まった醤油をその注ぎ口から自然に抽出することで、ぽたぽた・・・としか出てこないため、1年以上かけてひきだします。生引きが終わると、蔵人が木桶の中に入り、スコップで固く重い諸味を掘り出します。この諸味は溜醤油特有のもので、水分が少ないことから「味噌」と呼ばれていますが、一般的な味噌とは全くの別物です。掘り出した諸味は「味噌切り機」で数ミリの厚さにスライスし、厚手の布で包んで積み重ね、じっくりと圧搾していきます。時間をかけて丁寧に搾ることで、雑味の混入を防ぎます。一桶分の諸味を搾り終えるまでに、約2ヶ月を要します。
このような作業があるため、溜醤油を仕込む木桶は容量は同じでも、通常の桶と比べて縦が低く、幅が広く作られています。さらに、桶の側板も一般的なものより1cmほど厚く設計されています。仕込みの際には、桶の中に味噌玉を入れ、その上に布を敷き、石を一段積み重ねてから塩水を注ぐため、大きな圧力がかかります。その圧力に耐えるだけの強度が求められるのです。
「長良」は、生引きタイプならではの、すっきりと澄んだ味わいが特徴です。とはいえ、溜醤油らしい濃厚さと奥深い香りはしっかりと感じられます。強すぎず、それでいて物足りなさはない、その絶妙なバランスこそ、圧搾されていないからこその味わいだと感じます。
どんな目的でアルコールを使っているのか
醤油のラベルには、大豆や小麦と並んでアルコールが記載されているものがあります。アルコールが含まれている醤油は良くないという意見を耳にすることがありますが、そう単純に判断することはできないと感じています。
実際に山川醸造四代目の華奈子さんからは「山川醸造はカビ防止のため、充填時にビンにごく少量のアルコールを噴きかけています」とお聞きしました。これは山川醸造のホームページにも明記されています。一見些細なことかもしれませんが、消費者にとって重要な情報です。
やさしい溜でマグロがもっとおいしくなる
同じ山川醸造の溜醤油でも、「みのび」に比べて「長良」はもう少しやさしくて、でもちゃんと満足感のある味わい。その良さがぴったりハマるのが、マグロの漬け丼です。
溜醤油:みりん:酒=2.5:1:1の割合で15分〜1時間ほど漬け込んで。15分でも濃厚な味わいながらしょっぱさは控えめで、マグロとちょうどよい一体感を感じます。1時間漬けると色は濃くなりますが、ご飯にしみ込んだタレの味わいまで格別で、やみつきになること間違いなしです。
残りものの刺身や手頃な価格のマグロでも、溜醤油がたっぷりのうま味を補ってくれます。
まろやかな溜醤油は焼き餅にも
シンプルに醤油だけで焼き餅を楽しみたい方は、長良がおすすめです。まろやかなうま味と香り豊かな醤油が、香ばしく焼いた餅の味わいを一層引き立てます。
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